【アリス事変「公爵夫人の仕掛け時計」 あとがき】
 ※あとがきでは主人公の名前を「夢主(夢小説主人公)」と記載しています。



 アリス事変、第二章『公爵夫人の仕掛け時計』をお読みいただき有難うございます!
 自分の気持ちや考えを吐き出す場が欲しく、あとがきという体で綴らせていただきました。後半はちょっとしたイラストも。
 ネタバレなど諸々あるので、是非二章をお読みになってからお越しください。

 それでは早速。
 本章で描きたかったのは、大きく以下の三つです。

 ・独特な世界観
 ・人間関係の構築、不思議の国に愛着を持つ経過
 ・時間くんという存在との出会い

 それぞれについて語っていきます。



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【独特な世界観】

 『アリス事変』に出てくる不思議の国は、昔の西洋風に見えて実は現代的なところ、近未来的な機械があったり……正直何でもアリなゆる〜い感じです。そういう“異世界ごっこ”をしているような世界で、ごっこ遊びの役を演じる“キャラクター”が居て。一方でアリスネームを持たないモブ達は普通に現実的に生活をしていて……。
新鮮さと共に、妙な親近感、リアリティを感じていただけるような世界にしたいと思いながら書いておりました。
 ありそうで、なさそうな。読んでいる時に「帰って来た〜」と感じていただけるような。
 少しでも居心地が良いと思っていただけていたら嬉しいです。



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【人間関係の構築、不思議の国に愛着を持つ経過】

 人間関係構築については、主にはピーターとの関係です。最初から夢主に好意的な常盤、彼に合わせる黄櫨、敵意を抱いていたジャック……。ピーターは無関心・面倒臭い→ちょっと警戒……と変化はありますが、他のキャラクターよりフラットな状態からのスタートなので、少しずつお互いのことを知り、慣れさせていきたかったのです。
(ぶっちゃけ、最初に印象が悪かった人同士が仲良くなっていくのが堪らなく好きなんですよね!)
 二人とも落ち着いていてシュールなので、気は合うと思います。食の好みも合ってる。

 それからもちろん、橙との友情。ユリリオやマーマレードとの交流。対人だけでなく、ホテルでの生活、お祭りでの食事も……何気ない一つ一つの積み重ねが、夢主の不思議の国への愛着に繋がっていきます。
 夢主にとって“不思議の国の危機”が、他人事ではなく自分事になる。その経過を、今後も描いていきたいと思っています。



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【時間くんという存在との出会い】

 時間を操る時間そのもの、時間くん。夢主を不思議の国に呼び、夢主に勝手に色々期待を寄せる謎の存在。
 彼は物語に深く関わってくるキャラクターの一人です。今回彼とした会話、築いた関係が、いつか夢主の物語を動かす大切な鍵になる……かもしれません。
 人間とは違い、決して優しくない血も涙もない存在なのですが、橙に対してはちょっと違うみたい。



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【まだまだ話したい、あんなことこんなこと】

 第二章のテーマは、クロックパンクな世界観と、王道の時間ループものでした。前述したように何でもアリな世界観なので、今後も詰め込みまくりたいと思っています。

 それから語りたいのは、第二章のヒロインである橙について!
 橙は、主人公オーラのある少女を目指して書きました。ちょっと鈍感で、強大な力を持っていて、才能があって、人ならざる者に好かれたりしちゃう子。
 『不思議の国のアリス』に出てくる公爵夫人は醜い女性ですが、橙は普通にかわいい子です。(夢主もだけれど、絶世の美少女! とかではなく一般的に可愛いけど好きな人はめっちゃ好き! みたいな、個性的な女の子というイメージ)

『不思議の国のアリス』の公爵夫人を意識した設定としては……
 ・初対面時は不機嫌であること
 ・物語の“主人公”に救われること
 ・物語の“主人公”に懐くこと
 くらいです。特に二つ目「物語の“主人公”に救われること」が、今回の橙の物語における役割。彼女は自然と果たしています。

 あと、本当は夢主に平手打ちさせようとも思っていました。(公爵夫人のモデルと言われているマルガレーテ公爵夫人のあだ名「マウルタッシュ」には「醜女」の意味と「平手打ち」の意味がある)
 いつか、させるかも。橙がするかもしれない。

 公爵夫人に関連したキャラクターといえば“料理人”ですが……オレンジは料理人ではないです。どちらかというとマーマレードの方がそうかも。しかし柑橘姉妹は、あくまでモブ。アリスネームを持っていないその他大勢です。でも誰かにとっては、たった一人。

 ちなみに橙とアドルフは、十数年前に見た夢に出て来た登場人物たちが元となっています。ストーリーは謎だったのですが、歯車の回る不思議な巨大空間で、髭の男性が少女に向かって「お前は俺の嫁だ!」と叫んでいました(笑)



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【もうちょい喋る】

 先程少しルート分岐の話をしましたが、夢主が行動や認識を変えれば、物語は変わります。

 例えば橙と友達にならなかった場合……
 オレンジの残留思念と共鳴しないですし、そもそも橙を助けることではなく、元の時間軸に戻ることの為だけに行動するはず。そうすると、時間くんとの契約では寿命を取られていたかもしれないし、橙やアドルフ、キルクルスの街は時間の負荷で吹っ飛んでいたかも。時間くんにもきっと恨まれるはず。失うものが多い結末に。

 例えばピーターに差入れしたり、マーマレードの店を一緒に手伝わなかった場合……
 ピーターの友好度が低いままだと、行く先々で手助けしてもらえないし(必要最低限はしてくれる)、懐中時計も渡してもらえない。結局時間くんの方から夢主に勝手に契約を持ち掛けて結末は変わらないとしても、道中で夢主が負う傷は多かった筈。心強い味方が居ないことで、精神状態も危うかったかも。夢主の不思議の国への愛着度も低くなります。

 例えばユリリオと会話をしなかった場合……
 ユリリオやマーマレード、その他全ての人々もですが、夢主に何らかのヒント・気付き・感情の揺れを与えた存在が一つでも欠けた場合……それはバタフライ効果となって展開に影響していた筈。もしくはRPGみたいに必要なキャラクターに話しかけ終わらないと次の展開が起きないかも。
 無駄な事も含めて無駄がない。ということで、冗長な展開はお許しください(笑)



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【そして、物語は三章へ】

 三章のことについても少し。

 元の時間軸に戻って来た夢主。
 三章では常盤、黄櫨、ジャックと共にアリスの異変に向かいます。
 これまでの西洋チックな世界観から大きく変わり、“ネオ和風”を描いていく予定。

 夢主がある程度不思議の国に馴染んできたので、登場人物たちとの絡みも強めていきたいです。(一応、恋愛ファンタジーのつもりで書いているので)

 それでは第三章『三月ウサギと鏡の迷宮』もお楽しみに!
(実は図書館の本に鏡のことが書いてあったのはメタ視点の伏線でした)

 次のページはちょっとだけイラストを。
 ※夢主の容姿を出していますので、ご注意ください。

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