君は、天才だ。
一度見聞きしたものはどんなに細かなことでも完全に記憶できるし、
スポーツはルールさえ知らないものでも、新記録を塗り替えるだけ。
絵を描かせれば一枚で国が買え、
歌を歌えば心動かされない者は居ない。
君は紛れもない天才だ。

そして君は、あらゆる努力人から恨みを買われて、毎日暗殺者に狙われている。
時に毒で。銃で。刀で。爆弾で。
しかし君は四方八方からやってくるそのどれもを、鮮やかに、華麗にかわすのだ。
まるで自分は幸運の女神に愛されているとでも言いたげなその様子で。

幼馴染の私は、そんな君をいつも遠くで見ていたけれど、
ある日、暗殺者から逃げてきたところをつい匿ってしまった。
君は心底驚いたようだった。

君はそれから、よく私に話しかけるようになった。
君は私に、そして私が興味を持つ全てのものに、同じく興味を持つようになった。
私は、幼いころから大切にしていた一番の宝物だけは、けっして見つからないように机の引き出しに隠しておいた。

けれど君は見つけてしまった。
そして私の宝物を、いともたやすくもっと素晴らしいものへと変えて、笑顔で私に差し出した。


有名な武道家・世界一の殺し屋・絶世の美女
誰も敵わなかった君が、

何故か今、平凡な私の目の前で崩れ落ちていった。
手に残ったのは、


照。

(やめておけばよかったやめておけばよかったやめておけばよかったやめておけばよかったやめておけばよかったやめておけばよかったやめておけばよかったやめておけばよかったやめておけばよかったなんで)


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